Monthly Archives: 12月 2013

BKP(Balloon Kyphoplasty)

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BKP_BR_P.1バック

経皮的椎体形成術は、脊椎圧迫骨折(圧迫骨折)によってつぶれてしまった椎体を整復し、セメントを注入することにより安定化させて、痛みを和らげる治療法である。

1990年代にアメリカで開発された新しい治療法である。2010年2月に厚生労働省の承認を得て、現在は保険適用されている。この治療法には、脊椎手術を取り扱う専門施設でトレーニングを受けた医師が手術に関わるシステムとなっている。

対象となる患者さんは、十分な保存的治療によっても背中の痛みが改善しない脊椎圧迫骨折の方である。従来は、この脊椎圧迫骨折に対してコルセットなどの保存的療法を主体に行っていた。保存的療法では数か月~数年強い痛みが残る場合もあり、高齢者では活動性が低下して寝たきりとなることや、安静治療によりベット上で寝ていると合併症(肺炎・尿路感染症・痴呆など)を生じることが問題となっていた。こういった高齢者の痛みを軽減し活動性を改善するためにBKPは有効である。また、BKPは従来の手術方法に比べて低侵襲・短時間である。

他の疾患適応としては、まれに既存療法に奏功しない有痛性の転移性骨腫瘍や骨髄腫などの悪性脊椎腫瘍 の患者さんにBKPを行い疼痛の軽減を図ることもある。

 

MED(microendoscopic discectomy)

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内視鏡下椎間板切除術:内視鏡下に脱出した椎間板ヘルニアを切除する方法。

1997年にFoleyとSmithらにより開発・発表され、2001年ころ日本に入ってきてきた。現在もっとも普及しているのはMedtronic Sofamor Danek社のMETRx Systemである。直径16mmまたは18mmの円筒形の筒を背中に設置して、その中に内視鏡であるカメラをいれて手術を行う。カメラに映し出された手術部位の映像をモニター確認し、神経をよけて飛び出た髄核(ヘルニア)を摘出するといった方法である。

脊椎内視鏡下手術では、術後の腰痛や出血が少ないため早期の離床とリハビリが可能となる利点がある。

何もしていないのに自然と背骨が骨折する!?

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「あー。背骨が骨折していますねぇ。腰の骨が骨折して潰れています。』と、身に覚えのないことを医者に言われるかもしれません。

また、長年悩んでいた腰痛の原因を、「実はあなたの背中の痛みは、背骨の骨折が原因だったのです」と宣告されるかも知れません。

これは、骨粗鬆症を基盤として生じた脊椎の骨折であり、『骨粗鬆症性圧迫骨折または圧迫骨折』と呼ばれます。骨粗鬆症になると、体全体の骨が弱くなり非常に軽微な外傷(たとえばくしゃみ)で圧迫骨折を起こしたり、全く外傷がないのに骨が折れることもあります。

高齢者の3人に2人は圧迫骨折があるとも言われます。まったく痛みがない骨折の方もいますし、痛みが強すぎて寝たきりになってしまう方もいます。圧迫骨折は、自然と骨折が固まって治ることが大多数ですが、なかには治療に難渋するケースや、手術が必要になる方もいます。

場合によっては、下肢が麻痺して動かなくなるような恐ろしい状況となることもありえます。

体の奥にある背骨は体表から観察しづらく、自然と骨折しているとは思わないものなのです。

先日、AOSpine Advances Seminarに参加してきた

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朝9時から夕方5時までの長時間にわたる講義であった。卓越した新技術を講師陣の方々に披露していただき、まさに世界のトップSpinal surgeon育成ののすばらしいセミナーであった。

高難度手術・新技術のためには先進的な医療が必要であり、優秀な人材育成と技術習得のプログラムが必要不可欠と考える。このためにご尽力している企業と講師陣には頭が下がるばかりだ。

その一方で「自分にはこういったことは真似できないな」ということを再認識する機会でもあった。それでも骨粗鬆症に対する対策や高齢者の麻酔管理、最新の知見といった身近な問題は、今後の診療に非常に有益であった。この情報を明日からの診療にぜひ役立てたいものである。